近年、医学部に進学する女性の数が増加し、医師になる方の3分の1が女性という時代となりました。これに伴い、外科分野を選択する女性医師数も増加しておりますが、女性外科医の抱える問題点も多く、いまだに女性医師にとって働きやすい環境とはいえない状況です。
   平成17・18年度日本外科学会において外科医の地位向上のためのアクションプランが検討された際、女性外科医支援も不可欠との認識から、翌年度に女性外科医支援委員会が設置されました。この委員会において実施された調査より、外科医師全体の勤務環境改善はもとより、(1)女性外科医の情報交換や協力体制の強化(2)女性外科医に対する継続就労支援およびキャリア継続と向上のサポート(3)医学生、女性を含む医師全体、医学界および社会に対する女性外科医師支援に関する教育啓発活動や提言、等が重要であるとの結論を得ました。
   日本外科学会女性外科医支援委員会では、第108回(平成20年5月)、第109回(平成21年4月)日本外科学会定期学術集会において“女性外科医の会”を開催し、交流を図ってきましたが、今回新たに女性外科医の支援や待遇改善に関して提言等を行う組織が必要であるとの判断で、独立して「日本女性外科医会」を創設する運びとなりました。
 本会においては外科領域の臨床および研究に従事する女性医師を対象に相互の問題点を共有、改善策を討議し、個人生活とのバランスを保ちつつキャリア継続と向上を図ること、医学界および社会に対する教育啓発活動を推進し、問題改善の提言を行うこと、また国内外の女性医師との交流をもち、幅広い視点で今後の女性外科医のビジョンを検討していくことなどを目的としています。
   この会を通して、医学界において女性外科医の更なる活躍の場が広がり、突き詰めて医療環境の改善、医学の進歩に貢献できることを期待しております。
 
平成21年10月吉日
発起人(日本外科学会女性外科医支援委員会委員一同;順不同)
寺本 龍生、川瀬 和美、冨澤 康子、明石 定子、神林 智寿子、野村 幸世、
萬谷 京子、川本 俊輔、高松 英夫、永田 康浩、水田 祥代